色素不足による眩しさ

2.色素不足による眩しさ

アルビノの方の見えにくさの原因には、極度に眩しがるという症状もあげられます。これは専門的には「羞(しゅう)明(めい)」という言葉で知られており、メラニン色素との関係で説明することができます。
普通、ヒトの体にはメラニン色素が存在することで肌や髪の毛に色がついています。ところが、アルビノ(albino)という言葉がラテン語で「白い」という意味をなす「albus」という言葉に由来することからも、メラニン色素がない、あるいは、少ないアルビノの方は肌や髪の毛の色が普通とは異なります。この点については、誰もが見た目で気づくところだと思います。

しかし、ここで問題として取り上げたいのは、意外に気づきにくいところでもある眼球内の色素不足についてです。実は、メラニン色素形成に関わる細胞は、皮膚や毛の毛だけではなく、耳(内耳)や眼(ぶどう膜・網膜色素上皮)にも存在しています(Fig1)。このため、メラニン色素を作れないアルビノの方の眼は、一般的な日本人の方の色(黒や茶色)とはかけ離れた灰青色となります。
この眼の色が違うということは、言い換えれば、眼球内部の色も違うということを意味しています。つまり、普通ならぶどう膜や網膜色素上皮膚に色素があることで、眼球内は暗い暗幕状態を保たれますが、アルビノの方はそこに色素がないために暗幕不良な状態となってしまうのです。このため、光が眼球内に入ると、乱反射(ハレーション)を起こし極度に眩しがります。この見え方を例えるなら、プロジェクターから出る映像を明るい部屋の中でスクリーンに映しているために見えにくい状態とか、カメラの逆光状態といってもよいでしょう(Fig2)。
このように、アルビノの方が「羞明」という症状を持つのは、眼球に色素が不足するからだということが言えます。
(注)ぶどう膜は虹彩、毛様体、脈絡膜を合わせたもので、その色がぶどう色であることから命名されています(Fig1)。また、いわゆる、黒目というのは、ぶどう膜の虹彩の色が黒であることに由来しています。


(Fig 1)目の構造 (宮永, 2007より引用)


(Fig 2)錐体細胞と杆体細胞の分布(香川, 2005より引用)


(Fig 3)網膜組織のOCTスキャン画像(名古屋大学医学系研究室特設サイトより一部改変引用)


参考文献
香川邦生(編) (2005) 三訂版視覚障害教育に携わる方のために 慶応義塾大学出版会.
宮永嘉隆(監) (2007) 知っておきたい子どもの目のケア 少年写真新聞社.
樋田哲夫(編) (2008) 眼科プラクティス20――小児眼科診療―― 文光堂.
丸尾敏夫(編) (1997) 眼科診療プラクティス27――小児視力障害の診療―― 文光堂.
高橋宏(編集) (2006) ロービジョンケアの実際――視覚障害者のQOL向上のために第2版――. 医学書院.
引用URL:名古屋大学医学系研究室特設サイト
http://www.med.nagoya-u.ac.jp/tsurumai_semi08/mp2d53.html

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