「アルビノ」という呼び方について

文責:矢吹康夫

先に結論
 「『アルビノ』は、海外では差別的な呼称だから使わないほうがいいんじゃないですか?」と聞かれることが度々あります。
 実際、英語圏の当事者コミュニティでは「albino」は蔑称として認識されており、1990年代以降は「person/people with albinism(PWA)」という表記が用いられています。
 ですが、日本の当事者コミュニティには固有の歴史があり、カタカナ表記での「アルビノ」を当事者たちが主体的に選び取ってきた経緯があります。私たちは、そうした歴史の中で「アルビノ」というアイデンティティを獲得し、自ら「アルビノ」と名乗ることを選択してきた当事者個々人の自己決定が尊重されるべきだと考えています。
 だから、日本アルビニズムネットワーク(JAN)としては、上記のような問い合わせに対しては、「日本で、個々の当事者が、自らの判断でカタカナ表記の『アルビノ』という呼称を使うのは問題ないし、それを悪いことだと責めるべきではない」と回答します。
 以下では、そのように回答するのはなぜか、理由を説明します。

英語圏での呼称の変遷
 まず、英語圏で「albino」ではなく「PWA」が推奨されるようになった経緯から説明します。なお、英語では、「albino」は「アルビノ」とは発音せず、カタカナ表記で近い発音は「アルバイノ」となります。
 「albino」(注1)という言葉をめぐっては、アメリカの当事者団体であるNational Organization for Albinism and Hypopigmentation(NOAH)で何年もの間、広く議論されてきました。「PWA」という呼称は、アメリカ障害者法(1990年制定)と、アメリカで起こった本人中心主義的な運動の影響を受けています。
 本人中心主義的な言葉は、コンディションよりも前に個人を置く(person-centered language is to put the individual ahead of the condition)ものであって、例えば「the disabled」が「people with disabilities」に言い替えられたのは、ある特定のコンディションはその人のアイデンティティの一側面にすぎず、1つの特徴によってその人の全体を定義するのはやめようという動きがあったからです(NOAH: 2008: 140-1)。
 社会的に十分に浸透しているとは言えないけれど、以上のような理由から、英語圏の当事者コミュニティでは、蔑称である「albino」ではなく「PWA」が用いられるようになりました。

日本での呼称の変遷
 日本では、「白子(しらこ・しろこ)」が最も広く使われてきた俗称ですが(注2)、現在「白子」は、差別的なニュアンスがあるから使わないほうがいいと言われています。
 俗称ではなく医学的な診断名は、明治以降、海外の医学書の翻訳でいくつもの訳語が発明されては消えていき(注3)、現在、医学・遺伝学領域で使われている「白皮症」が定着したのは昭和に入ってからです(注4)
 実はカタカナ表記の「アルビノ」のほうが、「白皮症」に比べると日本語としては古く、明治・大正期以降、主に動物学者が使ってきました(注5)。おそらく「albino」をカタカナ読みしたものと思われます。
 日本では長い間、人間をさす呼称には、前述の俗称や診断名が使用され、カタカナ表記の「アルビノ」は、色素を作れない白い動物の呼称として多用されてきました。
 人間をさす呼称としてのカタカナ表記の「アルビノ」は、1980年代以降、マンガや小説といったフィクションの中で定着していきます(注6)。実在する人間のことを報じる新聞記事で「アルビノ」が使われるようになるのは2000年代になってからです(注7)

当事者コミュニティの成り立ちと「アルビノ」の受容
 日本の当事者たちにとって決定的に重要だった出来事は、1998年に開設された「アルビノ・スクエア」と「アルビノのページ」という2つのホームページです(いずれも現在は閉鎖)。この2つのページに設置されていた掲示板は、当事者や家族が出会う機会が乏しかった当時は、貴重な交流・情報交換の場になりました。
 2005年には、mixiに「アルビノ情報局」というコミュニティができて、そこにもたくさんの当事者や家族が参加していました。そして、2007年に関西を中心に活動する「アルビノ・ドーナツの会」が、2008年に私たち「日本アルビニズムネットワーク」が発足しました。
 1990年代末以降、オンラインから広がり、セルフヘルプ・グループとして組織化されるにいたる間、カタカナ表記の「アルビノ」は、当事者と家族に肯定的に受け入れられ、メディアでも抵抗なく使われるようになりました。人間をさす呼称としてのカタカナ表記の「アルビノ」は、日本語としては新しく、否定的に意味づけられていなかったことも、受け入れやすかった理由かもしれません。
 「白子」と呼ばれたり、「白皮症」と診断されてきた人びとが、自ら選び取ったのがカタカナ表記の「アルビノ」であり、他者/社会から名付けられるのではなく、自分たちで主体的に名乗ったという歴史があります。英語圏で「albino」が「PWA」に言い替えられてきた経緯は、日本で「白子」という蔑称から「アルビノ当事者」へ言い替えてきたことと符合するとも言えます。

JANの立場
 JANは当事者と家族への支援と社会的な理解啓発を目的としたセルフヘルプ・グループです。しかし、だからといって、日本国内の当事者や家族の総意を代表していないし、そんなことできるわけがありません。
 だから、「アルビノという呼称が望ましい」「みんなアルビノと名乗るべきだ」とJANとして言うことはできません。逆に「海外ではよくないのだからアルビノはやめるべきだ」「アルビニズムにすべきだ」と言うこともできません。
 大事なのは、個々の当事者の自己決定です。「アルビノ」としてアイデンティティを獲得し、主体的に「アルビノ」と名乗っているのならば、その選択を尊重すべきだと考えています。
 なお、JANは今後、国際化を推進していくことを1つのミッションとしているので、海外に向けて英語で交流・発信をする際は「PWA」を用います。


(1) 「albino」はラテン語で「白い」を意味する「albus」が由来です。「albino」という言葉は、1660年にポルトガル人のイエズス会宣教師・バルタザールが、アフリカの西海岸で白い肌をした現地の人と出会ったときに、その人たちを表現するために造語したというのが通説です(Martin 2002: 5)。その後、「albino」は話し言葉として使われるようになりましたが、英語、仏語、独語などで普及・定着したのは18世紀頃と考えられています(Froggatt 1960: 228-9)。
(2) 確認できた限りで最も古いのは、平安末期から鎌倉初期に描かれたとされる絵巻物『病草紙(やまいのそうし)』で、その中に「しろこ」の女性が登場します(小松編 1987: 78)。なお、「白子」以外の俗称としては、他にも「白っ子(しろっこ)」「白人(しらひと・しろひと)」「白児(しらちご)」などがあります。
(3) 原著の中でも「albino」と「albinism」は混在しており、それらの訳語も混乱しています。いくつか例をあげると「皮膚色素減乏症」、「先天性白病」(レッセル 1899)、「先天性白膚症」、「白眼症」、「先天性色素欠乏症」(ダヴェンポート 1914)などがあり、日本語で書かれたものとしては、「白化症」(駒井 1942)、「白児症」(木田 1954)などがあります。
(4) 確認できた限りで最も古い「白皮症」は1941年です(松本 1941)。その後、遺伝学と皮膚科領域では「白皮症」が、眼科領域では「白子症」が使われるようになりました。
(5) 1911年に動物学者の外山亀太郎が、長音符のついた「アルビノー問題」について講演したことが報じられています(『朝日新聞』1911年7月3日朝刊)。また、上記注3のダヴェンポートの訳書『人種改良学』の中で「白眼症」に「アルビノ」とルビがふられています(ダヴェンポート 1914)。また、1916年には、動物学者の田中茂穂が「イシガレイのアルビノ」という論文を発表しています(田中 1916)。
(6) フィクションの中でも以前は「白子」が用いられており、確認できた限りで最も古いカタカナ表記の「アルビノ」は、萩尾望都のマンガ『スター・レッド』(1980)で、「白子」に「アルビノ」とルビがふってあります。
(7) 試しに新聞記事データベースを「アルビノ」で検索すると、ヒットするのは白い動物が見つかった、捕まえた、おめでたい、といった記事ばかりです。人間をさす「アルビノ」で古いのは、『読売新聞』1999年10月12日東京夕刊、『朝日新聞』2002年8月31日朝刊、『毎日新聞』2002年9月14日大阪夕刊で、いずれもマリ出身のアルビノのミュージシャン、サリフ・ケイタについての記事です。

参考文献
チャールズ・ダヴェンポート(大日本文明協会訳), 1914,『人種改良学』大日本文明協会.
Froggatt, Peter, 1960, “The Legend of a White Native Race: A Contribution to the History of Albinism,” Medical History, 4(3): 228-35.
萩尾望都, 1980,『スター・レッド(1~3)』小学館.
木田文夫, 1954,「優生疾患と遺伝形式」『日本医科大学雑誌』41(5): 351-3.
駒井卓, 1942,『日本人を主とした人間の遺伝』創元社.
小松茂美編, 1987,『日本の絵巻7――餓鬼草紙・地獄草紙・病草紙・九相詩絵巻』中央公論社.
エドムンド・レッセル(下平用彩訳), 1899,『列氏皮膚病学(訂正再販)』吐鳳堂書店.
Martin, Charles D., 2002, The White African American Body: A Cultural and Literary Exploration, New Brunswick, New Jersey: Rutgers University Press.
松本信一, 1941,『皮膚病学 前編(改訂増補第3版)』南江堂.
NOAH, 2008, Raising a Child with Albinism: A Guide to the Early Years, East Hampstead: The National Organization for Albinism and Hypopigmentation.
田中茂穂, 1916,「イシガレイのアルビノ」『動物学雑誌』28(337): 477.

アルビノと見えにくさについて

【文責】相羽大輔 愛知教育大学特別支援教育講座

1.はじめに
このコーナーでは、アルビノの方の見えにくさについて解説いたします。本コーナーの内容を読まれる前に、いくつか事前にご理解いただきたいことがありますので、以下に記させていただきます。
※本コーナーの解説は、主として眼皮膚白皮症を想定し、一般的と考えられる見えにくさを扱っています。
※ここに記載されていない見えにくさの問題につきましては、当団体へ直接お問い合わせください。当団体で把握している情報を可能な限り提供をさせていただきます。
※ここに書かれた掲載内容は不定期に変更されます。

2.アルビノの人にはどんな見えにくさがあるの?
アルビノの人には、羞明(まぶしさ)、低視力の他、眼球振とう[がんきゅうしんとう](無意識に目が揺れる症状)という3つの見えにくさがあります。このため、一般的にはロービジョン(学校では弱視)と呼ばれており、特別支援教育(主に、視覚障害教育)の対象になります。ここでは、それぞれの見えにくさについてご説明します。

(1)羞明(まぶしさ)について
アルビノ(albino)という言葉は、ラテン語で「白い」という意味の「albus」という言葉に由来します。アルビノの人の髪の毛や肌が明るい色になるのは、体内にメラニン色素がない(あるいは、少ない)ためです。このメラニン色素の形成に関わる細胞は、皮膚や毛髪だけではなく、耳(内耳)や眼(ぶどう膜・網膜色素上皮[もうまくしきそじょうひ])にも存在しています。このため、アルビノの人の眼は、日本人の眼の色(黒や茶色)とはかけ離れた灰青色等になります。これがアルビノの人が感じる極端なまぶしさに関係してきます。もし、眼の色が黒や茶色であれば、眼球内部は暗室状態になります。例えるなら、真っ暗な部屋でプロジェクターの映像がスクリーンにはっきり投影された状態です。しかし、色素がないアルビノの人の眼は、眼に入る光を調整できず、眼球内部は暗幕不良状態になります。これは明るい部屋でプロジェクターからスクリーンに投影された映像が白く薄くまぶしく見える様子に似ています(図1)。また、背景が明るいところでは常に逆光のように見えます(図2)。日常生活では、照明や日光が反射しやすいホワイトボード等を見るときに背景がまぶしすぎて文字が読めない、太陽の方向(西日等)が背景にあるととてもまぶしい等の声があります。
(注)ぶどう膜:虹彩[こうさい]、毛様体[もうようたい]、脈絡膜[みゃくらくまく]を合わせたもので、その色がぶどう色であることから命名されています。
(注)黒目:ぶどう膜の虹彩の色が黒であることに由来しています。

       図1 暗幕不良状態
     図2 まぶしくて読めない状態

(2)低視力について
「メラニン色素がないと、まぶしさを感じるのは理解できるけど、どうして低視力になるの?」と疑問に思う当事者家族は多いです。一言でいえば、低視力になる原因は眼球内部の構造上の問題にあります。医学書等の専門書では、アルビノの特徴として、「黄斑低形成」[おうはんていけいせい]という言葉を目にします。この「黄斑部」[おうはんぶ]とは、瞳のちょうど反対側で、網膜の中心部分である「中心窩」[ちゅうしんか]とその周辺部分のことです(図3:工事中)。生まれたばかりの赤ちゃんの眼球内は綺麗な円形をしていますが、生後1歳になる頃には、「黄斑部」が発達して凹みを作ります。この凹みが確認されにくい状態を専門的には「黄斑低形成」と呼んでいます。
では、なぜ、「黄斑低形成」になると視力が下がってしまうのでしょうか。それは視細胞のうち、視力や色覚に関与する「錐体」[すいたい]と呼ばれる細胞が「黄斑部」の「中心窩」に集中していることと関係があります。「黄斑部」の「中心窩」付近は、網膜の中で視力が最も高くでる部分です。
もし、「黄斑部」が正しく形成できていたら、眼球内に入った光が錐体へ直に届くことによって、錐体から視神経へと効率よく情報が伝達されますが、アルビノの人はそうではありません。錐体細胞が正常に機能しているのにも関わらず、他の細胞が肥大したり、場合によっては血管が「中心窩」を横切ったりして「黄斑部」を覆っていること(凹みがない平らな状態になってしまうこと)が多いので、眼球内に入った光が錐体へと届きにくい状態となり、効率よく視神経への情報伝達ができないのです。
このように、アルビノの人は、「黄斑部」がうまく作れないために、視力が低下し、ロービジョン(弱視)になります。構造上の問題が原因ですから、眼鏡やコンタクトによる矯正では、多少の改善はあったとしても、見える人と同じようにはなりません。

          図3 眼球の仕組み

では、低視力といっても、アルビノの人はどのくらい見えているのでしょうか? 当団体の経験則ですが、視力値はおおよそ0.05から0.5の範囲で、かなりの個人差が認められますが、0.2程度の方が多いようです。そこで、ここからは、視力とは何か? また、それぞれの視力値に応じた見え方についても解説します。
視力は、その人がどれだけ細かいものを見分けられるかの程度を小数等の数値で表現したものです。この数値は、網膜に映るイメージの大きさを角度で表現したもの(視角)[しかく]に基づいて算出されています。視距離が同じだった場合、視力が高い人は、小さなイメージであっても対象に気づけますが、視力が低い人は大きなイメージを映さないと対象を認識できません。網膜上のイメージを大きくするには、その人が対象に近づくか、対象自体を大きくしてもらうことが必要になります。実際、アルビノの人は、見える人よりも極端にTVに近づいて見ますし、スマホやタブレットの画面を拡大して見ます。これは網膜上のイメージを認識できる程度まで自ら拡大する工夫であり、とても自然な適応行動です。見える人からすると、特異な行動に思えるかもしれませんが、極端に近いからといって「もっと離れてみなさい」と指摘しないでください。対象を全く見えなくなってしまう恐れがあります。。
続いて、それぞれの視力値で、どのくらいの大きさの文字が見えるのかを説明します。まず、以下の表をご覧ください。これにはアルファベットの「C」の文字に似た視力検査指標(ランドルト環)の切れ目幅をまとめています。眼科では、5mの距離(遠方の見え方)を測定しますが、教育現場では30cmの距離(近見の見え方)も測定し、本や教科書を読むときの文字サイズがどの程度がよいかを検討しますので、それぞれに対応した値を表示しています。

表 ランドルト環の切れ目幅

この表からわかることは、例えば、0.1の視力値の方は、5mの距離であれば、その距離で1.5cm幅の線に気づけるということ、また、30cmの距離であれば、0.9mm幅の線に気づけるということです。みなさんも、それぞれの視力に対応した切れ目幅を、ご確認ください。
それぞれの視力値の方が、読めるであろう文字のサイズの選定方法について簡易的なものを紹介させていただきます。ここでは、「ランドルト環の切れ目=その距離で見える線の太さ」という考え方を用い、「書」の漢字のサイズについて理論的に推定します。「書」は、黒い横線の数は8本あります。その間には、これと同じ幅の透明な横線が9本存在しますので、実際には、17本の横線(縞々)があることになります(図4)。「書」という漢字は、ランドルト環の切れ目幅に相当する線が17本積みあがっているのだから、その高さに相当するサイズであれば、無理なく読めるということになります。この考え方に基づき、理論上は、画数の多い漢字は、ランドルト環の切れ目幅の17倍、ひらがなは7倍の高さを、読める文字サイズとして推定します。その高さがわかれば、文字サイズの一覧表を参考に、該当する文字を探せば、ポイントサイズ(pt)がどの程度必要になるのかも判断できます。

     図4 簡易的に文字サイズを推定する考え方

例えば、視力値が0.2の方を想定します。30cmの距離では、ほぼ20ポイントの漢字が認識できます。顏を半分の距離(15cm)まで近づけると、網膜上のイメージは単純に倍の大きさになります。そうなると、プリントの漢字の大きさは、一般的な文字サイズ(10.5ポイント)でも読めるということになります。
このように書くと、0.2程度の視力値の人が多いアルビノの方は、あまり困らないのではと誤解される方もいらっしゃるかもしれません。確かに、中には、大人になるまで視覚補助具等(単眼鏡、拡大鏡等)を使わず、困っていないというケースもあるようです。しかし、アルビノの方の見え方は、視力だけではなく、他の症状(まぶしさ・眼球振とう)の影響を受けます。0.2の視力があっても、まぶしい状況ではそれだけのパフォーマンスが発揮できないことだってあります。「アルビノの人の見えにくさ≠健常者の見えにくさ」であることを忘れないようにしましょう。
なお、ここでは視力値に対応した文字サイズの簡易的な推定方法を紹介してきましたが、より正確に文字サイズを判断するためには、そのお子さんが教科書を読む様子を観察することや、MNREADというチャートを使った読書評価が不可欠です。特に、小学校では、学年(学年が上がると文字が小さくなる等)や教科特性(鍵盤ハーモニカを間に入れ、距離を取って教科書を読むケース等)も考慮しないといけません。こうした点は、視覚特別支援学校、大学の教育相談、ロービジョン外来を持つ眼科等の専門機関と相談してください。

(3)眼球振とう
アルビノの場合、眼球振とうは横揺れになります。両手で本を持ち、左右に揺らすとうまく読めなくなりますが、そのような見え方です。
例えば、定規を横置きで使うと、バーコードのように太い線と細い線があり、それが揺れているように見えてしまう方がいます。これではうまく線がひけませんし、長さを測ることができません。横揺れが起きてもメモリがわかるように、定規を縦置きで使うと、眼球振とうの影響がなく、学習ができる場合もあります。
また、縦書きの文章は読みにくく、何度も同じ行を読んでしまうことがあります。そのようなときは、読んだ行に定規を当てる等の工夫をすることで、繰り返しを避けることができます。
ロービジョンの方は、先天的にこうした眼球振とうがある場合が多いようです。メカニズムの詳細まではわかっていませんが、疲れがたまるとひどくなるという方、過度に緊張しているとひどくなるという方、頑張ってみようと集中しているとひどくなるという方がいます。何よりも、疲れを感じずに見るには、不快にならない明るさ、無理のない姿勢、適度な休憩が重要です。それから、眼球振とうがひどい状態の時は、無理に学習や仕事をしても、効率が悪いだけなので、しっかり休むということが大切です。

参考文献
相羽大輔・矢吹康夫(2013)当事者団体によるアルビノの支援活動―子育て支援と社会への理解啓発を中心に―.弱視教育,51(2),20-25.
石井更幸(編)(2017) アルビノの話をしよう. 解放出版.
香川邦生・千田耕基 (編) (2009) 小・中学校における視力の弱い子どもの学習支援. 教育出版.
氏間和仁(2012)見えにくい子どもへのサポートQ&A. 読書工房

JANスタッフ紹介

アルビー
当事者です。特別支援教育を専門とする現職の大学教員です。JANの発足当初からのスタッフで、主に、子育て支援の担当をしています。見えにくさ、学校での環境整備、就学、進学、就職等幅広く、ご相談にのれます。気軽に団体までお問合せください。

伊藤 大介(Daisuke Ito)
三重県四日市市出身でアルビノ当事者です。現在は都内の独立行政法人の職員として勤務しています。学生時代にタンザニアのアルビノ当事者団体での活動を経て、JANでは国際交流などを中心に活動しています。

雁屋優(Yu Kariya)
アルビノ当事者。1995年生まれ、北海道出身。茨城大学理学部卒業。PR/広報領域、セクシュアルマイノリティのジャンルでライターとして活動しつつ、ヒューマンライブラリーに「本」として参加したり、アルビノに関する文章を書いたりしている。医科学系の大学院進学と、アルビノに関するノンフィクション本を出すことが目標。趣味は読書と一人旅と映画・アニメ鑑賞。

神原 由佳(Yuka Kanbara) Twitter:@y_kambara
1993年生まれ。アルビノ当事者。社会福祉士、精神保健福祉士。
関心は「見た目問題」、生きづらさ。お酒と本と雑談が好きです。学生時代は吹奏楽部、バスケットボール部のマネジャーを経験しました。
withnewsにて「#アルビノ女子日記」連載中。

廣瀬 真由子(Mayuko Hirose) Facebook
アルビノ当事者。1991年生まれ、静岡県藤枝市出身。武蔵野音楽大学音楽学部声楽学科卒業、同大学院音楽研究科修士課程声楽専攻修了。二期会オペラ研修所第63期マスタークラス修了。二期会準会員。アルバイトをしながら声楽家(ソプラノ)として活動中。アルビノ当事者としてはJanスタッフのほか、ヒューマンライブラリーへの「本」役としての参加、調査・研究・取材協力等活動を行っている。音楽・アニメ・ゲーム・読書が好き。

矢吹康夫(Yasuo Yabuki) Twitter:@yabukiya03
 当事者としてJANの活動に発足当初から関わるのと並行して、社会学・障害学の視点からアルビノについて研究してきました。日本の歴史の中でアルビノがどのように処遇されてきたのか、また、当事者たちがどうやって生きてきたのかについて『私がアルビノについて調べ考えて書いた本』(2017年、生活書院)にまとめました。現在は、都内で大学教員をやっています。

矢吹(吉村)さやか(Sayaka Yabuki/Yoshimura) Researchmap
当事者家族です。社会学の研究をしています。パートナーと結婚した2016年から、活動のお手伝いをしています。いまを生きる当事者とその家族のためだけでなく、将来生まれてくるであろう、当事者とその家族にとっても有意義な場となるよう、JANの活動をサポートしていきたいと考えています。

国際アルビニズム啓発デーへのJANからのメッセージ(2020)

国際アルビニズム啓発デーへのJANからのメッセージ

International Albinism Awareness Day ~Message from JAN~
(English Message is below)

―アルビノ当事者の方へ―
 JANとして今年で5回目のアルビニズムデーにこのようなメッセージを発表できることを非常に嬉しく思います。JANが設立してから、今年で12年目を迎えます。これまでの皆様からの暖かいご支援の下、JANの活動が継続でき、今年もアルビニズムデーを無事に迎えられたこと、感謝申し上げます。今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、JANの中心的な活動である、当事者やそのご家族が交流を深める「あつまれアルビノ広場」の従来の対面形式での開催は難しいものとなっています。現在、広場の代替となる活動をメンバー間で検討を重ねており、皆様が安心してご参加いただけるような新しい形での取り組みを企画しています。今年も皆様と交流を深められることを心より楽しみにしております。引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い致します。

―アルビノ当事者のご家族の方へ―
 アルビニズムデーは、一般社会での認知度はまだまだ低くニュースや新聞などでも取り上げられることは多くありません。しかし、私たちアルビノ当事者にとっては「自身の個性の一つであるアルビニズムを個人の問題ではなく、社会の問題として考える、アルビニズムそのものを前向きにとらえる」1年の中の大切な1日にしたいという特別な想いがあります。小さなアルビノのお子様がいるご家庭におかれましては、アルビニズムデーの話を日常生活だけではなく下記のような世界的な取り組みも織り交ぜながらお話いただき、「自分一人で解決しなければいけない問題ではなく、みんなで解決していく社会の課題」としてアルビニズムを前向きにとらえ、家族の絆を深めていただく契機になれば幸いです。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、人との距離が遠いと感じる昨今ですが、「アルビニズム」という言葉には、家族の絆を深め、社会の中に思いやりと優しさを生み出す力が必ずあると私たちは信じています。当事者団体としてアルビニズムの理解啓発への貢献と皆様にとって安心できる交流の場や有益な情報をこれからも提供していきたい所存です。引き続きのご支援をどうぞよろしくお願い致します。

国際アルビニズム啓発デー(International Albinism Awareness Day)とは・・・
 2006年頃から、タンザニアを中心とした東アフリカ諸国において、アルビノ当事者が襲撃・殺傷されたり、墓が掘り返されたりといった事件の数々が報告されるようになりました。これは、アルビノ当事者の体の一部を用いて呪術的儀式を執り行うと裕福になるという迷信による深刻な人権侵害であり、世界各国でセンセーショナルに報道されました。一連の事件に対しては、当事国の当事者団体のタンザニア・アルビニズム・ソサイエティが中心となって、カナダに本拠を置くNGOアンダー・ザ・セイム・サンやアメリカのNOAHなどとも協力し、タンザニア政府だけでなく、米政府や国連などに働きかけを行いました。これを契機に、アルビノ当事者やその家族が直面する人道的被害や社会的差別が国際的に注目されるようになり、その成果として2014年11月18日の国連総会において、6月13日を国際アルビニズム啓発デー(International Albinism Awareness Day)とすることが採択されました。

これまでの国際的なアルビニズム啓発の活動の経緯
 2015年、国連人権保障理事会でイクポンウォサ・イロ氏(アルビノ当事者)がアルビニズム問題に関する国連独立専門家に任命されました。同氏によってアルビニズムに関する調査・研究が行われ、国際機関や政府への政策提言や助言のほか、アルビニズム支援団体に対しても支援が行われてきました。今なお多くのアルビノ当事者が襲撃されるといった人道危機を抱えるアフリカを中心に調査・研究が行われてきた成果として2017年に「アフリカ-アルビノ アクションプラン2021」が策定され、各国の政府にその働きかけが行われています。
 2018年にはイロ氏の協力のもと、日本財団主催で「東京アルビニズム会議」が開催され、日本でもこの問題が広く報道されました。さらに、2019年にはアフリカ以外の地域のアルビニズムの現状を調査する全世界的な研究が開始されました。JANもこの研究への協力依頼を受け、運営メンバーに加えて国内の有識者にも協力いただき日本のアルビニズム問題についての現状を報告しました。今後はこの研究が更に進み国際社会の中でアルビニズムに対する支援や啓蒙活動が活発化することが期待されています。

東京アルビニズム会議(提供:日本財団)

 そして2020年には、アンダー・ザ・セイム・サン、NOAH、フランスのアルビニズム当事者団体のGenespoirの呼びかけによって、パリで世界各国から当事者団体の代表が参加し国際団体設立に向けた検討を目的としたGlobal Albinism Alliance (Exploratory Meeting) が開催されました。この会議では、2023年にGlobal Albinism Allianceの正式な設立に向けたロードマップが採決され、運営メンバーや各地域や国の代表が選出されました。(JANも東南アジア地域の窓口として活動予定です。)

Global Albinism Alliance (Exploratory Meeting)

 このように国際アルビニズム啓発デーの制定後に、それまで国内・地域内での活動を中心に行ってきた当事者団体が国際的な交流や連携を通じて、これまで以上にアルビノ当事者が抱える社会課題を国際社会に広く訴えかける活動がより活発になってきました。

―JANのこれまでの活動とこれからの活動方針―
 JANは、アルビノ当事者やその家族を中心に開催した「アルビノセミナー・2008」をきっかけに2008年に結成されました。これまで、社会に向けた理解啓発活動として、ホームページ運営や講演会、取材対応、研究協力、ヒューマンライブラリーへの「本」役の紹介などを行ってきました。また、子育て支援としては、「アルビノ子育てかんふぁれんす」を年に1回程度のペースで開催し、講師に特別支援教育の専門家眼鏡レンズメーカー化粧品メーカー皮膚科医などを迎え、教育現場での視覚補助具やICT機器の活用、ロービジョンケア、紫外線対策、最新の医療情報などを提供してきました。2010年からは年に3〜4回程度の頻度で「あつまれ!アルビノ広場」を開催し、当事者や家族の交流の機会となっています。2019年には、3回の広場を開催し合計47人の当事者とそのご家族にご参加いただきました。コロナウイルスが感染拡大する中でも、皆様が安心して参加できるようなオンライン交流会など2020年も企画していく予定です。

集まれ!アルビノひろば(2019年5月17日)

 2018年の「東京アルビニズム会議」を契機に、JAN運営メンバーが他国の国際会議に参加するなど、海外の当事者団体との交流・連携が活発化してきました。今後は、日本社会へのアルビニズムの理解啓発と当事者・家族へのピアサポートの活動を継続するとともに、世界のアルビノ当事者が直面する問題の解決のために、広い視野に立った国際的な活動にも積極的に取り組みたいと考えています。

International Albinism Awareness Day 
~Message from JAN~

Dear People with Albinism
 As JAN, we are very pleased to present this message on this year’s fifth Albinism Day. This year marks the 12th year since JAN was established. We are highly appreciated your warm support over the years which have made to be able to continue JAN’s activities, and looking forward to another year of Albinism Day. This year, in the wake of the spread of the novel coronavirus pandemic, JAN’s core activities “Albinism family meeting” where the people with Albinism and their families can get to know each other are facing the challenges to hold in the traditional face-to-face style. We are currently discussing alternative activities for the meeting, so that you can participate in them with confidence and safety. We are now planning new ways of working with you. We are looking forward to deepening and strengthen our relationship with you again this year.

Dear families with people with albinism.
 Albinism Day is still not well known in the public and it is not covered in the news and newspapers. However, this day is so important for the people with Albinism to consider that “Albinism is the one of our own individuality, not a personal matter but a social problem”. For families with children with Albinism, we would like you to talk about Albinism Day with not only in your daily lives but also the global perspective bellow. Albinism is not a personal problem that has to be solved by themselves, but a social issue to be solved by everyone in our society”. Due to the influence of the spread of the novel coronavirus, we feel that we are far away from each other in these days, “Albinism” has always the power of the word “family ties” to strengthen family bonds and create compassion and kindness in oura society. We believe that this is an opportunity to take a positive view and deepen family ties. We will contribute to the understanding and awareness of albinism and provide a safe and useful place and information for you to interact as an Albinism organization.

What’s International Albinism Awareness Day
 It has been reported globally people with albinism in some sub-Saharan African countries face severe stigma and discrimination such as albino attacks and killings which have several root causes including ignorance, longstanding stigma, poverty and most abhorrently, harmful practices emanating from manifestation of beliefs in witchcraft (UN:2019).These issue attached international attention. To correspond these human rights violation, albinism organizations in the world (Tanzania Albinism Society, Under the Same Sun, National Organization for Albinism and Hypopigmentation) worked together to reach out to not only the African government but also UN. Finally, On 18 December 2014, the General Assembly adopted resolution A/RES/69/170 proclaiming, with effect from 2015, 13 June as International Albinism Awareness Day.

History of international albinism awareness raising activities
 Moreover, in response to the call from civil society organizations advocating to consider persons with albinism as a specific group with particular needs that require special attention, on 26 March 2015, the Council created the mandate of Independent Expert on the enjoyment of human rights by persons with albinism. As a result Ms. Ikponwosa Ero who are also with person with albinism was designated as a United Nations Independent Expert in the UN Human Rights Council. She researched the issues of albinism in African region and submitted her first report on albinism to the UN in 2016. Based on the research, Regional Action Plan on Albinism in Africa (2017-2021) had been endorsed in 2017 and have been reaching out to the governments in Sub Saharan Africa.
 Here in Japan, with the cooperation of the Nippon Foundation and Ms. Ikponwosa Ero, Tokyo albinism conference was held by in 2018. There were many participants who were person with albinism from all over the Africa and raised an awareness challenges of people with albinism and Africa to Japan and it is widely reported. Afterwards, the global albinism research was launched by UN to investigate the current situation of people with albinism in regions outside Africa JAN is cooperating it as a representative of Japanese albinism organization. It is expected that this research will further advance and raise awareness in the international community.

Tokyo Albinism Conference (2018.11.9)

 In 2020, Under the Same Sun, NOAH and French albinism group Genespoir, held an international conference in Paris for people with Albinism and representatives of the albinism organizations participated there from all over the world. In this conference, it was voted to establish an international organization called Global Albinism Alliance in 2023. In addition the roadmap for formulating the organization was adopted and the management members and representatives of each region and country were elected. (JAN is also planning to act as a contact point for the Southeast Asia region.

Global Albinism Alliance (Exploratory Meeting)

 Thus, after the establishment of the International Albinism Awareness Day, Albinism organizations which had been mainly working within the country and region, have become more active and widely in their activities to appeal the social issues faced by albinism to the international community through international cooperation and collaborations than ever before.

JAN’s Vision and Policy
 JAN was founded in 2008, triggered by the “Albino Seminar” held mainly by people with albinism and their families. To enlightenment activities to the society, we have been having meetings for networking among people with albinism and their families, WEB management, research (Sociology, Education, psychology and so on), media interview, living library, and working shop for dermatology, ophthalmology, cosmetics and special care for students so far. Through above working, we are giving them opportunities to learn about law and existing public services, ICT tools, skin care products, latest medical treatment as a care support. In addition, since 2010, we have held “Albinism Meeting” at a frequency of 3 to 4 times a year, providing an opportunity for people with albinism and their families to interact. In 2019, we held the meeting for three times with a total of 47 participants. We are now planning to continue our activities in 2020, including online social gatherings for everyone to feel comfortable participating in even as the coronavirus spreads.
 The Tokyo Albinism Conference (2018) was an opportunity for JAN’s management members to attend international conferences in other countries. The exchange of information with overseas groups of people with albinism has made JAN become more active. We will continue our activities to raise the awareness in the Japanese society about albinism and to provide peer support for people with albinism and their families as well as a broader view of the issues facing people with Albinism around the world.

Albinism Meeting(2019.5.17)

『この顔と生きるということ』にJANスタッフが登場します!

 見た目問題当事者と家族、関係者に取材して書かれたルポルタージュ・岩井建樹著『この顔と生きるということ』(朝日新聞出版)が出版されました。

 JANからは、スタッフの神原由佳、吉村さやか、伊藤大介、矢吹康夫が取材を受け掲載されています。ほかにも、アルビノ・ドーナツの会代表の薮本舞さん、アルビノ・エンターテイナーの粕谷幸司さんも登場します。

 ぜひ手に取ってご一読ください。