低視力によるピンボケ状態

1.低視力によるピンボケ状態

アルビノの方の視力が低い原因のひとつに、眼球内部の形成異常があげられます。よく医学書等を読むと、アルビノの特徴として、「黄斑(おうはん)低形成(ていけいせい)」という言葉が目に付きますが、これは「黄斑部(おうはんぶ)」という部分が普通とは違う作りになっているということを意味しています。
「黄斑部」は、瞳のちょうど反対側、つまり、網膜の中心部分である「中心窩(ちゅうしんか)」とその周辺部分を指しています(Fig1)。生まれたばかりの赤ちゃんの眼球内は綺麗な円形をしていますが、生後1歳になる頃には、「黄斑部」が発達して凹みを作ります。この凹みが確認されにくい状態を専門的には「黄斑低形成」と呼んでいるわけです。

では、なぜ、「黄斑低形成」になると視力が下がってしまうのでしょうか。それは視細胞のうち、視力や色覚に影響力のある「錐体(すいたい)」と呼ばれる細胞が「黄斑部」の「中心窩」に集中していることと関係があります(Fig2)。一般的には、この「中心窩」周辺で得られる視力は1.0とされており、網膜の中で最も視力が高い部分となります。これは「黄斑部」が作る凹みがあることで、眼球内に入った光が錐体へ直に届くことによって、錐体から視神経へと効率よく情報が伝達されるためです(Fig3)。ところが、「黄斑部」の凹みがないアルビノの方は、錐体細胞が正常に機能しているのにも関わらず、他の細胞が肥大したり、場合によっては血管が「中心窩」を横切ったりして「黄斑部」を覆っていること(凹みがない平らな状態になってしまうこと)が多いので、眼球内に入った光が錐体へと届きにくい状態となり、効率よく視神経への情報伝達ができないのです。
このように、モノを見分ける能力である視力に強い影響力を持っている「黄斑部」がうまく作られないがゆえに、アルビノの方は弱視となり、矯正をしてもおおよそ0.1~0.3程度と低視力状態になります。


(Fig 1)目の構造 (宮永, 2007より引用)


(Fig 2)錐体細胞と杆体細胞の分布(香川, 2005より引用)


(Fig 3)網膜組織のOCTスキャン画像(名古屋大学医学系研究室特設サイトより一部改変引用)


参考文献
香川邦生(編) (2005) 三訂版視覚障害教育に携わる方のために 慶応義塾大学出版会.
宮永嘉隆(監) (2007) 知っておきたい子どもの目のケア 少年写真新聞社.
樋田哲夫(編) (2008) 眼科プラクティス20――小児眼科診療―― 文光堂.
丸尾敏夫(編) (1997) 眼科診療プラクティス27――小児視力障害の診療―― 文光堂.
高橋宏(編集) (2006) ロービジョンケアの実際――視覚障害者のQOL向上のために第2版――. 医学書院.

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